「政権選択選挙」とやらまで、いよいよ後一ヶ月を切ったというところで、こんな本を読んでみた
アメリカで2008年の大統領選挙を前にして出版された本の訳書。
アメリカで出版された本ということで、まずはアメリカの過去の州知事選・議会選挙・大統領選挙などで、好ましくない(?)候補が選ばれてしまった例が複数紹介されている。子ブッシュがゴアに勝った時の選挙は「スポイラー」が多大な貢献をし、かのリンカーン大統領も有力な対立候補が分裂したために当選できたという。
その後の章では、さまざまな投票の方式とよりよい投票制度の探求の歴史を解説しつつ、最適な投票方式が何なのかを探る。
投票制度にこんなにも種類があるとは知らなかった。本に出てきたのを挙げてみると、
・相対的多数投票
日本でも国政の小選挙区・首長選挙など多くの選挙で使われている、お馴染みの投票方式。一人一票で、最も多くの得票を得た候補が当選
・比例代表
こちらもおなじみ
・ボルタ式投票
各候補者に一位から最下位まで順位をつけてそれを点数に換算し、最も多くの点数を得た候補が当選。
・コンドルセ式投票
同じく各候補者を順位付けし、一対一で比べて他の全て人に勝つ候補者がいればそれが当選となる。
・否定/是認投票
当選しても良い(してほしくない)と思う候補者を何人でも良いので選択する。是認票が最も多い(否定票が最も少ない)候補が当選
などなど。投票といえば小選挙区か比例代表しか無いと思ってたが。
一方、投票を行う上で問題となるのは
・スポイラー
自分が当選する可能性はほとんど無いが、特定の有力候補の票を奪って選挙結果に影響を与える候補のこと
・票割れ
非常に良く似た主張を持つ候補が二人立ったり、有力な党の候補が分裂したりすることで票が分散し、第三の候補が漁夫の利を得る
・戦略的投票
候補者の順位付けを行うボルタ式投票などで、有権者が自分の意中の候補を少しでも有利にしようとして、本心とは異なる順位をつける。こうした行動をとる有権者が多数現れると、思いもよらない候補が当選してしまいかねない。
各種の投票方式と、予想される望ましくない事態を考慮すると、最も望ましいのはamazonやyoutubeなどでおなじみのあのシステムを使った方式になるようだ。「あのシステム」が何かというのは、読んでからということで
どっちが政権をとっても今の選挙制度が変わることは無さそうだが、選挙への理解を深めるためにいい本。
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