2009年1月6日火曜日

低コストな広島旅行記 2日目 宮島の哀れな鹿たち

 カプセルホテルで目覚めたあと、7時台に広島駅を出発して宮島口駅へ向かう。宮島口駅前には著名な老舗駅弁店があるらしいが、予想通り時間が早すぎて開店していなかった。まあいいさ。

宮島口駅と宮島で押したスタンプ。劣化していて何回おしても不鮮明になってしまう。

 宮島口駅を出て、交通量の多い道路を地下通路でわたるとすぐに宮島行きの船の乗り場に着く。宮島へはJR西日本の宮島航路と広島電鉄傘下の宮島松大汽船が運航しているが、青春18きっぷがあるのでもちろん宮島航路のほうを選ぶ。18きっぷで乗れる唯一の航路である宮島航路だが、どうやら今年の4月から子会社に移管されるらしい。そうなるともう青春18は使えなくなってしまう。印でも押してもらっておけばよかった。早い時間の便に乗ったので、日の出が見られた。

 肝心の宮島観光だが、厳島神社は想像していたよりもかなり新しい感じがして、平清盛以来の歴史というものでもないような印象。海に面していて台風などの被害で何度も修復されているから仕方が無いか。式年遷宮で20年ごとに社殿が建替えられる伊勢神宮に行った時も、建物を見て同様の印象を持ったが、あちらは敷地内にある巨木がかなり良い雰囲気を出していた。宮島にも弥山という自然が豊な山があるが、それは神社からけっこう離れている。厳島神社の宝物館も、平家納経が見られるかと思いきや、本物は企画展のみで普段はレプリカが少し。本物が見られるからわざわざ出向く価値があるのに・・・。宮島歴史民俗資料館は年末年始で休館、宮島水族館も改修中で閉館だったし、もう少し事前の下調べを綿密にしていけばよかった。

 その宮島で厳島神社よりも印象に残ったのが、島のあちこちにいた鹿。奈良の公園みたくほのぼのした光景かと思っていたら、自販機の前で必死になって缶コーヒーの飲み残しをあさっていた。

 まあそれだけならあるかもしれないと思ったが、宮尾城跡の付近の工事現場では何と段ボールを喰らうという異常な空腹ぶり。帰ってから調べて見ると、鹿は神社の神獣とされ鹿せんべいなども与えられていたのだが、増えすぎて住民に被害が出るようになり、えさやりを一切停止して「野生に帰そう」としているところらしい。餌付けをして増やしておいて、増えすぎて困ったら山へ帰れというのはどうかと思ってしまう。ほぼ一方的に被害を被っている山村ならともかく、宮島のように鹿を観光資源の一つとしているようなところはなおさらだ。

 神獣の鹿といえば、まず奈良公園が連想される。あちらは保護団体があって鹿せんべいの売上を財源として保護・管理活動を行っているという。宮島の現状よりはうまくいっているといえそうだが、それでも財源不足や増えすぎによる諸問題が発生しているようだ。増えすぎないように、殺さずに保護するというのはなかなか難しい問題だ。観光客はわずかな時間鹿と戯れるだけで、地元の人々の状況まではなかなか考えが及ばないし。「宮島名物鹿鍋」でも売り出せばいいかも知れないが、神獣だしさっきまで戯れていた鹿を食いたいと思うかどうか。

 宮島名物のあなごめしは帰りの時間には売っていたが、一人だけで食べるのもどうかという気がして、結局土産屋で「あなごめしの素3合分」を買って帰ることにした。宮島口から広島に戻り、「ASSE」という駅ビルの中でカキフライ定食750円を食べる。値段と味がマッチした定食だった。

午後は広島市内へ。