
新宿サブナードの古本市で、我が故郷知多半島の南端にある南知多のパンフレットを見つけ、つい買ってしまった。
一通り読んでみたが、なかなか興味深い内容だ。1200円というのはちと高いが、それなりの価値はある本と言えそうだ。
現在の名古屋鉄道河和線の前身である知多鉄道の路線が河和駅まで全通したのが、この本が出版される3年前の昭和10年。愛知商船(後の名鉄海上観光船)の鳥羽~師崎航路もこの年に開通している。陸海の交通の便がよくなって、これから名古屋至近の観光地として大いに売り出そうというところだったのだろう。文章全体に、将来の発展に対する希望に満ち溢れた様子がよく伝わってくるようだ。
南知多はその後名古屋からの潮干狩り、海水浴、避暑地として大いに賑わってきたが、最近は若干斜陽のようにも感じる。観光業が収縮気味な上に、地元住民の減少に歯止めがかからないのも痛いところだ。昭和13年の人々が現状を見たら、どういう感想を持つだろうか。生活全般が便利になっていることは疑いの無いことだが、将来に対する希望という面ではどうか。
というわけで(?)、南知多への応援という意味もかねて「南知多案内」の内容をこのブログで紹介したいと思う。文章は全般的にかなり自信過剰気味が、海に山に歴史にと良いところがたくさんあって、今でも休みを過ごすには良いところなのは間違いない。泊まりでも日帰りでも、ごく近場からでも東海地方以外からでもぜひどうぞ。
ちなみに、このパンフレットで言う南知多というのは、現在の愛知県知多郡南知多町だけではなく、美浜町、常滑市坂井・小鈴谷、一色町佐久島も含まれています。
まずは序文「編集の序」から
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「南知多」は観光地として、山あり、海あり、風光明媚であり交通至便である処から最近南知多の風光を探ぐるも日をおふて激増しつゝある今日、これが観光客にはパンフレット始めポスターや各種の方法で大体に於いてこの遊覧コース等が紹介されてゐるが、吾人は尚一層我躍進途上の南知多を大方諸賢に認識して頂きたい念願でこの「南知多案内」を発行した次第であります
幸に御利用の光榮を得ますれば此の上もなき満足で御座います。
昭和十三年六月一日 南知多にて 編者しるす
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