2009年6月23日火曜日

冤罪の心理学


認知的不協和理論をもとに、なぜ記憶と現実が食い違うのか、なぜ人はあやまちをなかなか認めようとしないのか、そして人間のそうした傾向を踏まえた上でどうすればよいのかについてを書いた本。

第5章「犯罪と捜査と裁判をめぐる迷走 冤罪はなぜ生まれるのか」

は、足利事件のDNA再鑑定→再審決定といったニュースが日々報道され、「裁判員制度」なるものが導入され自分が裁判の当事者になるかもしれないという中で、ぜひ読んでおきたいところ。というか、

第1章「心の不協和音 自己正当化の原動力」と第5章を読むだけでもこの本を買う価値はあると思う。

・刑事がほとんど思い込みに近いような捜査で「犯人」を逮捕し、明らかに誤認だと分かってからも何故当初の判断に固執するのか?

・検事や裁判官が、証拠薄弱で明らかに冤罪と思われるような被疑者に対しても有罪判決を下してしまうのはなぜか?

・なぜ誤認逮捕された人は、なぜやってもいない犯罪をじはくしてしまうのか?

などなど。

冤罪というのは功名心に逸った一部の愚かな警察がやらかすものではなく、人間は誰しも放っておけばその種の過ちを自分でも意識しないうちに犯してしまうものだ。それを理解した上で、冤罪を防ぐための対策を考えなければならないのだが・・・。どうも当時の県警や鑑識に対するバッシングばかりが目立つ状況を見るとそうなってはいないようですな。

「裁判員制度」導入されてしまった中、せめて自分にも冤罪事件を起こしかねない性向が潜んでいることを十分意識するようにしたいと思ったり